通勤途中、斜め前に杖をついたおじいちゃんが歩いていた。
ふと立ち止まり、足元にあった葉っぱを拾い、ポケットにいれた。
あの葉っぱ、どうするんだろう?
孫にあげるのか、妻に見せるのか、飾るのか?
ふと13年前を思い出す。
夏から入院していた母に、黄色いイチョウの葉っぱや赤いモミジの葉っぱを拾い、病室に持っていって、外はもうこんな風になっているよと見せていたこと。
翌年の2月に亡くなるとはそのときは思ってもいなかった。
来年の秋には一緒に紅葉を見ることができるとすら思っていた。
あのおじいちゃんはあの葉っぱをどうするんだろう?
あのときの母のように、外に出られない妻がいて、こんな時期なのに落ち葉があったよなどと話すのだろうか。
いろんな思いを持って人は生きている。
そんなことを感じたできごとだった。