暴れ黒猫の思い出

7-8年前、風に舞う落ち葉を追いかける可愛い子猫を見つけた。

宅配のお兄さんが近くで見守っていて、数百メートル離れたところからやってきたし(ずーっと車で移動しながら見守ってきたらしい!)、親もいなさそうだし、人も怖がらないから迷い子だろうと言って、おぼんざめに子猫を渡して「託します」と言われてしまった。

近くの家に声をかけて、もらってくれないかと言ったが、ことごとく断られたので、家に連れ帰った。

愛猫がいたので、別の部屋に隔離。

病気などがあると困るから。

ところがその可愛い子猫が実は悪魔のような猫だった!

まずは閉じ込めた部屋でティッシュを箱からすべてボロボロの状態で取り出す。

カーテンや吊るしてある洋服をかけのぼり、ビリビリに。

部屋から出たいようで、ドアの横の壁紙はすっかり剥がれた。

そのうち知恵がつき、ドアノブに前足をかけ、下ろすと同時に体重かけてドアを開けることを覚えた。

気配を感じてうしろを向くと、しれーっと前からいたかのようにくつろいでいる。

あるいは、愛猫の大切なかつおぶしをむしゃむしゃ食っておる。

どれだけ対応強化しても出てくる。

仕方ないのでリビングにこさせることにした。

愛猫はずっと一人っ子で深窓の令嬢として育てられてきたので、そんな傍若無人な輩に慣れておらず、とにかくビクビクして、関わり合いにならないようにちぢこまっている。

輩子猫は、どこでもくつろぎ、やりたい放題。

愛猫のかつおぶしだけでなく、大人用のごはんも食べる。

トイレも別に用意したのに、愛猫のトイレで用を足す。

そのうち愛猫にまとわりつくようになった。

姉ちゃん!遊んで!とばかりにからみつく。

愛猫は怖くて仕方ない。

最初は逃げ回っていたが、あまりにもしつこく絡まれ、ときどき反撃にでるようになった。

耳をぺたんと寝かせて威嚇する!

だが暴れ子猫は遊んでくれてると思い、かまわずまとわりつく…。

こんな攻防が数ヶ月続き、愛猫がストレスでハゲるんじゃないかと思い始めた頃に、子猫の写真をカフェでみたという人がもらってくれることになった。

さすがに別れる時は寂しかったが、愛猫はかなりすっきりしたようで、それはよかったなと思った。

貰い先でも一度逃亡したらしいが、可愛がってもらっていたようだ。

そのうち貰い主のメールが不通になり、引っ越したようで連絡つかなくなった。

暴れ黒子猫はどうしているのか、なつかしく思う。

その頃の写真をみていて、どちらもいないが、その頃のドタバタをおかしく思い出す。

暴れ黒猫、楽しい日々をありがとう!

お前の傍若無人な振る舞いは、稀に見るものだったよ。